SSS_no.051:言葉を綿に

言葉は綿、綿の小さな塊
綿に思いを染みこませて、川に流す
川の流れにゆらりゆらりと乗ってふわりふわり
相手に届くか否かは川次第、綿を取るか否かは相手次第
ときに穏やかに、ときに激しく川は今日も流れる

言葉を綿にして、今日もわたしは思いを流す
楽しかったあの時の感情や、悲しい気持ちも、みんなまとめて
きっと誰かが、わたしの過去を、思い出を拾ってくれると思って
それくらいしか、わたしがこの世に残る方法はないから


  SSS_no.052:色

つらいこと、悲しいこと
自分に、人という生き物に、この世界に絶望して
でも死ぬような勇気や度胸もなくって
わたしは枯れた涙をしぼり出して眠る
眠る、深い闇の中を、わたしはどこまでも行く
その誰もいない、この自分だけの闇のなかで
わたしは誰にも忘れられて、誰をも忘れて

そうして目が覚めると、いつもの天井が迎えてくれる
わたしを押しつぶすことなくただただ見守るだけの彼がいる
…ただいま、わたし、また死ねなかったよ
そうして今日も退屈な余生を送る、そんな繰り返しの人生をみる

わたしには色がみえない、いや、この世界には色がない
白黒だけのこの世界で、まだ死ねないのはあの人がいるから
だって、わたしが死んだら、この世界はあの人以外本当に白と黒だけになるから



……
………まだ、生きてる
あれだけ長い間待ってたのに、どうせ世界は何も変わってないんだろう
それはもう、いつものことと諦めた
さあ、憂鬱な色の世界を歩こう
死ねない身なら、せめてこの世界を楽しもうと誓った

この誓いは、もう何度目だろうね

〜あとがき〜
鬱な気持ちの、あの波をちょちょいと表現してみました。ド変化球で。
…白黒だけの世界で、例えば色鮮やかなサラダとかはどんな風に見えるだろうかと想像して食欲失せた。
これはいいダイエットかもしれない。「グレースケールダイエット」とか、ありかもしれません(ねーよ


  SSS_no.053:客人

冬のある夕方、久々に客人がきた
この人は、昔よく我が家にきていたおじいさんだったはずだ
すっかり背中の曲がってしまったその老人は、冷たい水で手を洗ってこちらにやってきた

私のところにくる人は、決まって同じことをする
わずかばかりの手土産を放り込み、そして騒がしく私を呼び立てる
すると手を叩いてお辞儀をして、眼をつぶって瞑想にふけるのだ
ひとの玄関先で、人々はそんなことをやっていく
ここ数年、変な客人が途絶えたと思った矢先にこの老人がきたのだった

・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・ふぅ

長々と瞑想にふけっていたおじいさんは溜息ひとつを残して帰っていった
なにを考えていたのか、そんなこと私にはわからない
久々の客人がなにを手土産に放り投げていったのかを確認すると、

5円玉だった
それが玄関先のポストに入っていた
「ごえん」がありますように、とは先人も言ったものである
・・・そういえば、私の家は健康祈願が売りだったっけ

おじいさんには奥さんがいたはずだ
あれは4年前、さっきの老人が最後にきたときにこぼしていた
「妻が事故に遭いました。どうか、命だけは助けてやってください」
奥さんはどうなったのだろう、まだご健在なのだろうか
私は冷たい5円玉を握り締めながら、奥さんの存命と夫婦の幸せを祈願した

冷たい木枯らしが、境内にたまった落ち葉を散らかすように吹いていた
下界300年目の冬は、やっぱり寒くなりそうだった

〜あとがき〜
寂れた神社の神様をイメージして書いてみました。男性か女性かは貴方にお任せします。
ときに、5円は語呂がいいけどホントにそんな小額でちゃんとご利益はあるのかねぇ?
物価高騰の折(笑)、神様もその辺きついんじゃなかろうか。なんて勝手に心配したり。


  SSS_no.054:サミット

「では、これにて本年度の会計報告を終了します」
拍手に送り出される形で、壇上から初老の男性が降りる
司会らしき老人が蓄えた髭をひと撫でして、聴衆に問いかけた
「それでは、他に何も無ければこれにて本年度の全国集会を終了します」
広い会場が一瞬で静まり返り、聴衆が無言でもって異議のないことを告げた
髭をもう一度撫で、老人は頷くと高らかに宣言した
「これにて、平成20年度全国集会を閉会とする」
会場は今一度、大きな拍手で満たされた

「大黒はん、どないします、このあと、せっかくなんでいっときましょうや」
「おお、よろしいですなぁ!是非に参りましょう」
「毘沙門はんもどうでっか、ちょいっと、いっときまへんか?」
「いえ、私は急ぎ戻らないといけないので、すみません」
「さいでっか…、なんや儲かってはるみたいでよろしいでんなぁ」
「そんな、恵比須さんに比べれば私のところなど」
「今年は別品どころも呼んでますが。弁財天なぞも来るそうで」
「なに!いや、しかし…」
「ええやないですか、1年にこれっきり、しかも弁天はんも来る」
「これを逃す手はないですぞ、毘沙門殿」
「ああ、…仕方ないですねぇ、少し、ほんとに少しだけですよ」
「鼻の下、伸びきってますでぇ、助平やなぁ」
「はっはっは、では参りましょう」

10月。毎年この月になると出雲は俄かに活気付く。

〜あとがき〜
なお本来、出雲に神々が集まるのは縁結びの相談ともされているため、そうならば恵比須様は来ない。
むしろ恵比須様は留守神、留守番をする方らしい。よってこの説を信じるなら大黒や毘沙門、弁才天も来ない、はずである。
また「神無」は宛て字であり、世に広まっている「全国の神が集まっての集会」みたいな説は中世以降、出雲大社が広めたものである。らしい。
如何せんソースがWikipediaなもんで(ヲイ)、詳しいことは皆さんでお調べくださいまし。


  SSS_no.055:laugh

できるなら、人を笑わせたい
関西人の血が騒ぐ、そんなときもある
・・・・・・
よし、ウケたウケた、皆笑ってる

あれ?
でもこれって、笑われてるようにもとれない?
笑わせたのか、笑われてるのか
意味は大きく違う
どっちなんだろう、どっちなんだろう
笑い声に囲まれてふと考える真顔の自分がそこにいた

〜あとがき〜
最近「売れてる」芸人に聞かせてやりたい、読ませてやりたい。
それは笑わせてるんじゃなくて、笑われてるんだと。
爆笑じゃなくて、失笑とか苦笑の類だと。
今一度、「笑い」とは何かを皆で考えるときにあるとわたしは思う。
そんな関西人のつぶやき。関東の人はどう思うだろうねぇ…?


  SSS_no.056:another Frederica

わたしの心がつらいのはなぜ?
こんなにも心が苦しいのはなぜ?

ほんの些細なことだと、
そんなのつまらないことだと、
人は口々にわたしを笑う、そうするだろう

求めるからなの?
期待するからなの?
わたしは、そんなことすらしてはいけないの?

わたしの心がつらいのはなぜ?
こんなにも心が苦しいのはなぜ?

わたしの求めるものは、
私の期待してしまうものは、
どうしてそうすればするほど離れていくの?

ただ、わたしは…、そこにいたいだけなのに…

〜あとがき〜
と、夢の中で羽入があうあう言ってました(マジ話
…相当病んでるなぁ、俺orz


  SSS_no.057あなたの隣人は?:

あなたには、知り合いと呼べる人は何人いますか?
あなたには、友達と思える人は何人いますか?
あなたには、親友だと思い合える人が何人いますか?
あなたには、心から愛し合える人がいますか?

あなたが思い悩んでるとき、相談できる人はいますか?
その人は本当に親身に相談に乗ってくれますか?
あなたがたとえば入院したとき、何人が見舞いに駆けつけてくれますか?
そしてたとえばあなたが死んでしまったとき、その内の何人が涙を流してくれますか?

あなたには、何人の仲間がいますか?


あなたは本当は、裸の王様じゃないんですか?


  SSS_no.058:人生ゲエム

おはよう、諸君。君たちに新しい任務を与えよう。
これから、ちょっとしたゲームにチャレンジしてもらいたい。なに、簡単なもんさ。
まずは外に出て、自分の身一つで経験を積んでもらいたい。相応にスキルも身に付くはずだ。
ある程度になったらここからが本番だ。君たちは単身、敵の拠点に潜入する。社会だ。
そこで君たちはパートナーを見つけるだろう。頼りはそいつだけだ、選択を間違えるんじゃないぞ。
やがて君たちは家族というチームを結成する。そこは君たちの拠点となるはずだ、死守せよ。
そうそう、敵地内には必ず仲間もいるはずだ。彼らとの連携次第で難易度も変わってくるだろう。
では諸君、健闘を祈る。

なお、このゲームはリセットも巻き戻しも効かない。心して、慎重且つ迅速に動くように


以上


  SSS_no.059:『白馬の王子とお姫様の物語』

小さいころは、洋物の童話をたくさん読んでいた
白馬に乗った王子様が、お姫様を迎えにくる
私にも王子様が、そう信じていた
しかし大きくなった私を迎えにきたのは、金髪の男だった

今、女は反対に男の「馬」に成り下がり息も絶え絶えに啼いている
「やめて!」悲痛な叫びもむなしく、古びたアパートのなかに響くだけ
男は「馬」に跨ったまま、にやりと笑って果てた


「じゃああなた、ちょっと出版社に入稿に行っ」「ちょっと待て」


  SSS_no.060:教会の天使

とある町はずれの、小さな教会
その隣のこれまた小さな家に青年は住んでいた

あれは5年ほど前、青年がまだ少年だった頃だった
彼の両親がナイフで八つ裂きにされ、妹のマリアも姿を消した
後に残ったのは教会と小さな家と、少年カインだけであった

「父様、母様、…マリア。いってまいります」
庭の隅、あの一件の後植えられた木は去年に小ぶりの赤い実を結んだ
禁断の果実、太くなった幹の下で眠る3人の家族に祈りを捧げた

そうしてカインは教会の鐘を鳴らし、今日も主の教えを説くべく教会に向かう
ふわりと目を細め、天使の笑顔は町の人々を迎え入れていった


「じゃああなた、ちょっと出版社に」「待て、最近の絵本はみんなこうなのか?」

〜あとがき〜
最後、前のネタを引っ張ってみた。絵本作家さんも大変なようで。


  SSS_no.061:日本史C「近頃の〜は…」

昭和→平成:最近はなんでも言葉を縮めよって…
大正→昭和:何なんだ、あの変に簡略化した漢字は…
明治→大正:最近はどうも言葉が乱れてきておってからに…
江戸→明治:ハイカラ?近頃の若者というやつは…
室町→江戸:これだから東国の野蛮な田舎者の言葉は品が…
鎌倉→室町:京のなにが良い、あんな言葉はまったく…
平安→鎌倉:東の奴等の言葉はなんて汚いんだろう…
平城→平安:どうして仮名文字なんて幼稚なものが流行って…
大和→平城:女が字を書くなどと、これは男のすることで…
弥生→大和:文字?口で伝えろよ、何のための口なんだよ…
縄文→弥生:ゴタゴタうっせぇな、土器作るか狩り行くぞゴルァ!!

歴史は繰り返す

〜あとがき〜
「平安→鎌倉」の項は記録にも残っている。
清少納言が東国訛りの言葉を聞いた際に、
「御所言葉に比べて品がなく、下品である。そればかりでなく、最近は京においても言葉が乱れていて辛抱ならない」
というようなことを日記に書いている。
個人的には、(昔は普通に使っていた「古文」の言葉を現在使わないように)言葉は常に生き物のように変化していくものだと思う。
短縮語やバイト語のように他人が嫌と感じるものもあるが、それも日本語の長い歴史の一部ではないだろうか。
むしろ「美しい日本語・乱れた言葉」と馬鹿みたいに叫んでる奴等は、その「美しい」と「乱れ」の「基準」を客観的な論理によって証明する義務がある。

これが日本語を、一応専門に学んでいる3流学生の感じるところだったりする。


  SSS_no.062:逆

朝起きると、ありとあらゆるドアが逆向きになっていた


1.玄関で
……、
これは困った
これまでドアの向きを気にしてこなかったことに、俺はなぜか激しく後悔した
通常玄関は、ドアが玄関外に向かって開く仕組みである
…まぁ、それ自体すら、このように逆になって初めて気づいたのだが
これではただでさえ狭い玄関、出にくい上に元ある靴がぐちゃぐちゃになり、
その上帰宅して脱いだ靴がドアを閉めると外に押し出されてしまうではないか
これはめんどくさい世の中になったものだ、神様は今頃必死に腹筋を押さえているだろう
対策を考えておかなければ、そう思いながらかばんを手になんとか外に出た
キャベジンを飲むのを忘れてしまったが、もう戻る気にはなれなかった

2.バス停で
逆とは言っても、それはないだろうという光景が街中を走っていた
バスが走っている最中はドアを開けており、停留所で閉まる
安全上にも非常に危険なのだが、最大の問題があった
俺の今立っている停留所にバスが来ても、止まった瞬間にドアが閉まるのである
納得はできないが今日は履きなれた革靴でよかった、まだ動きやすい
俺は他の人がしているように、停留所の数メートル手前で徐行してくるバスを待った

3.車内で
明らかに今朝急いで作ったような、簡素な張り紙が車内のいたるところにしてある
「停留所付近では徐行をいたしますので、その間に乗降車願います」
なるほどと納得し、俺は定期券を見せつつ会社のある最寄りのバス停で降りた
…まぁ、きっと運転手は定期券なんぞを確認する暇なんてないだろうが
そして、バスから飛び降りて財布をかばんに仕舞っているとき俺は気づいた
ドアの開閉ボタンを逆に押しさえすればいいのではないか、と

4.ビル前で
自動ドアは案外強敵である
なにせ通常は開いているのに、人間が近づくと勢いよく両側から挟もうとするのである
しかし、女性社員は賢かった
センサー部分に化粧用の手鏡をあて、何事もなかったようにすぅっと通り過ぎていくのである
そうすればいいのかと感心しつつ、男性陣がビルの前で女性社員に頭を下げているのを俺は眺めていた
3分後にビルの管理人がセンサーの電源を切って、つかの間の女性天下が終わるまで…

5.トイレで
個室ドアが個室の方向に開く理由を、今しがた理解した
「いてっ! 馬鹿者、開けるときは危ないから声をかけるようにと言っただろうが!」
小便に来たであろう課長が、自分の後輩の開け放ったドアに鼻っ面をぶつけたらしい
今日何度目かのなるほどの「ど」を脳内で言い切る直前、今度は自分の鼻先が個室のドアをノックした
「おぉすまん…なんだ佐藤かよ、だいじょうぶか?ドア開けるぞって言ったろ」
…すまん、考え事してた

6.居酒屋で
俺は内地勤務だからまだ良かったが、朝俺に個室ドアをお見舞いした高橋は営業で大変だったようだ
「森野ビル、あそこの回転ドアどうなってたと思う?」
…ひょっとして、回ってなかったとかか?
「おう、うんともすんとも言わないんで諦めたんだろう、昼行った頃にはドアのガラスが全部割られてたよ」
そうか… で、高橋よ
「ん?なんだ?」
いきつけのいつもの居酒屋なんだが…、このドアを見てどう思う?
「……、その発想はなかったわ」
引き戸は左右でなく、上下に開く仕組みになっていた
…なんでもいいが、どういう仕組みなんだ、これ?
そして客はどっちを開けて入ればいいんだ、これ?

7.翌朝に
飲みすぎて高橋と別れた後の記憶が確かではないが、俺はきちんとスウェットを着て布団で寝ていた
この世の全てのドアは、昨日一日が嘘のように元に戻っていた
朝イチ、会社のエレベーターホールで会った高橋に話を振ってみたが、
「おまえ、昨日飲みすぎたからって変な夢見すぎだぞ、はっはっは」
と、相手にしてくれなかった
やっぱり、そんなことが起こるわけない、たしかに高橋の言うとおりだ
昨日履いた革靴が玄関の外にあったのも、それ以外の靴が隅に寄り固まっていたのも、
俺は久しぶりに悪酔いをし、何とか布団までたどり着いて、そして変な夢を見た、それだけだ
昔から俺はたびたび変な夢を見ていたし、それは逆に話のタネみたいになっていた
そう、今回みたいに…
「…課長、昨日はすいませんでした」
「いやいや、いいんだよ杉山くん…、それにしても昨日は何だったのだろうねぇ…」
俺は飲むのを忘れていたキャベジンをかばんから取り出して一気に飲み干した

〜あとがき〜
思ってたよりも相当長くなってしまいました…。というわけで、世にも奇妙なSSSですw

これには元ネタがあります。
「今怒っていること」を街頭インタビューしている番組のなかで、
「格安のアパートに住んでるんですが、ドアが逆で…」という、まさに「1.玄関で」状態のお宅がありまして…。
これは使えると、ネタにさせていただきました。
名も知らないお方、そしてどこの局か忘れましたがテレビ局さん、ネタ提供ありがとうございましたww


  SSS_no.063:死別した孫

「もしもし…俺だよ、俺」
受話器を取ると、見知らぬ若い男の声が聞こえてきた
「誰だい、そういうあんたは?」
「ばあちゃん、勘弁してくれよ…、ほら、孫の…」
「ああ、俊哉かい!ごめんねぇ、気がつかなくって」
「そうだよ、俊哉だよ、やだなぁもう」
俊哉のほうから家に電話をかけてくることは、めったにない
「どうしたんだい、俊哉?珍しいねぇ、俊哉から電話をかけてくるなんて」
「…それがね、さっきバイクに乗った女性の人と事故っちゃって…」
俊哉は一呼吸置くと、神妙な面持ちで事故の様子を話し出した
つまるところ、妊婦の乗ったバイクと衝突して相手が死産してしまったらしい
「それで示談金として300万くらい要るんだ…」
オレオレ詐欺である、フミエはもう大方の対策を練り終えていた
「あ、母さんには心配かけさせたくないから…内緒にしといてほしいんだ」
「そうかい、わかったよ… それで、お金はどうすればいいんだい?」
「今から言う口座に振り込んでほしいんだ…メモ、大丈夫?」
「…俊哉、その前にちょっといいかい?」
相手も異変に気づいたのか、一瞬の間…そしておそるおそる
「…なんだい、ばあちゃん?」
「俊哉は…、5年も前に交通事故で死んだはずだがねぇ…生きてたのかい、よかった」
電話は乱暴にブツリと切られた

「電話、誰から?」
キッチンの冷蔵庫を物色しながらスウェット姿の青年は祖母に聞いた
「間違い電話だよ …俊哉、早くその寝癖直して大学にお行き、遅刻するよ」
「え… うわ!やっべ、もうこんな時間! い、行ってきます!!」
「いってらっしゃい、事故っても示談金払ってあげませんからね、ほほほ」


  SSS_no.064:十箇条之御触書

一、空気は吸ふだけのものに非ず
一、空気は読むだけのものにも非ず
一、空気を読むは流れに従うだけに非ず
一、空気は読み取るものにて候
一、空気を変へるも先ずは空気を読み取るべし
一、知るは万事の始に知らぬは大罪と心得よ
一、空気を読まざるとは空気を考へぬ事に候
一、此の世の渡るに空気の素早く読むこと肝要なり
一、吸ふ様に空気を読み丁重に扱うべし

一、吸つた空気は必ず吐くべし

〜あとがき〜
KYに端を発した「空気」の問題。
「空気を読む」は「場の流れに従う」のではなく、「場の雰囲気を掴む」のではないか?
「空気を読むことが日本をダメにした」と一部で叫ばれているが、なにか勘違いしてる人もいるような気がしてならないが気のせいだろうか。
なんにせよ、場の雰囲気を考えずにぶち壊すのは間違いなくKYなので、現状把握は少なくともしましょう。空気変えるのはそれからでも遅くないはず。


  SSS_no.065:length reading

まさかこんなことになるなんて、誰が想像できたろう
あたしは望んでない、こんなことのために研究してたんじゃなかった…

うそのように静まり返った瓦礫の街で、支柱の曲がった信号が点滅している
そこだけこの非現実から取り残され、さみしそうに黄と赤の単調なリズム
だれもが当たり前のように思っていた明日は、ものの一瞬で消し飛んだ
けして押してはいけないボタン、どこかの偉い人は唆されでもしたのだろうか
どのみち、今さら何を言っても手遅れであることには変わりないけれど
もし、またどこかに生を享けるなら、次は兵器のない世界がいいなぁ…

〜あとがき〜
タイトル:縦読み(あてずっぽうな訳ですが)
よく縦読みレスを見たりするんですが、やってみるとかなり難しいものですね。
あと、主人公死んでるはずなのに人類絶滅後の街を見てたりとか、
信号の電力源はどこか、とかいうところもご愛嬌ということで…。


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